「電子メール」と「手紙」

2016.12.14 岡田定晴
 移り行く時代(作曲:Amacha)

電子メール  「電子メール」が業務で使われるようになったのは、1995年~2000年ころでしょうか。私自身が業務で使い始めたのは、平成9年(1998年)頃でした。 それ以前は、電話か或いは直接人と会って話をして仕事を進める時代でした。だからいつもスーツを着たり、ネクタイを締めている必要がありました。 今では考えられませんが、机の上の内線電話や、コピー機の横などに置いてあるシュレッダーのような大きな箱型のFAXは、 業務遂行に無くてはならないもので、とても重要な役割を果たしていました。オフィスでは、電話のベルの音や、FAXのピロピロ音が 鳴り響いていました。また、郵便や社内の便で「案内」や「資料」が行き交っていました。 今でもごく稀に、メールを使わない人や組織があって、どうしてメールを使ってくれないのかと腹立たしくなることもありますが、 メールを使わない良さも感じます。

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 業務で「電子メール」が使われるようになった頃、個人でも携帯メールやeメールが使われ始めました。 それまで重要な連絡手段であったポケベルや、FAXは徐々に使われなくなっていきました。 年賀状は、メールで送ると心がこもっていないように感じるため、デジタルネイティブの若い世代は別として、今でも年賀はがきが使われています。 若い人には、通信費のかからないLINEが人気で、eメールは人気が下降気味、年賀状をメールで済ませることも普通になっているようです。

 しかし、電子メールの登場から15~20年も経った今でも、「電子メール」では済まされないことがあります。 「お礼」「感謝」「お祝いの気持ち」や、「転勤」「転居」「弔意」などを伝えたいとき、紙に書かれた「手紙」や「電報」は 欠かすことができません。時間がかかっても、電話やメールでは伝えられない気持ちを正確に伝えることができます。 また、手で触れることができる「もの」、目に見える「形」として記録が残ります。 「文例を見て、自分の気持ちを整理し、考えて文章を書き、何度も見直して推敲して最高のものを贈る。」 このような機会は、年に1~2回しかありませんが、受け取った人にこれほど感謝されるものはありません。

 電子メールは、文字だけのやりとりになってしまい、「真意」や「感情」が相手に伝わらず、揉め事に発展するケースもあるようです。 もう十数年も昔のことですが、私自身、送られてきたメールの文書を見て腹立たしくなり、なぜか喧嘩腰の返信メールを送ってしまい気まずい思いをしたことがあります。 電話や、何度も推敲を重ねる手紙だったらこんなことにはならなかったのにと後悔しました。

 電子メール以前の仕事は、直接人と会って打合せをするのが基本でした。 それができないときに、FAXで資料を送り、それを見て電話で打合せをしていました。また、郵便や社内便に頼ることもごく普通のことでした。 ですから「電子メール」によって、日常の仕事の能率はかなり改善されました。 この5~6年は、モバイルやクラウドが普及して、「電子メール」はオフィスのパソコンに縛られることもなくなり、 「文字のチャット」や「TV電話会議システム」や「ボイスチャット」「ビデオチャット」などの便利な機能も使われています。

 しかし、ICT(情報通信技術)がいくら発達しても、大切な気持ちを紙に書いて伝える「手紙」が無くなることはないでしょう。


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