どっぷり浸かっているとわからない

2017.02.17 岡田定晴
 深い川(作曲:Amacha)

 「仕事があって収益を得る仕組みができている組織」というものは、有り難いものです。 ゼロからスタートして、お客様を獲得し、信頼を得て事業が発展し、安定した収益を確保する仕組みができるまでの苦労は大変なものでしょう。 うまくいくとは限りません。失敗することもあるでしょう。だから、自分の時間と能力を「仕事があって収益を得る仕組みができている組織」に売ることが、 お金を得る最も簡単な方法かもしれません。就職とは、そういうことなのでしょう。その組織の中で、冒険をせず無難に仕事をしていても生活が保障されるのです。



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幕張メッセ会場正面  伝統のある組織、大きな組織の中では、仕事のやり方は簡単に変えられるものではありません。 長い時間をかけて出来上がった利害関係があるので、組織のトップが指示してもなかなか変えられるものではありません。 技術が進歩しても、インターネットの直撃を受けていなければ、「収益を得る仕組み」もそう簡単には崩れることはなく、 安泰でした。しかし、変化の速い時代に、目の前の仕事に追われ、これまでうまくいっていた仕事のやり方にどっぷり浸かっていると、 組織の外の状況や変化がわからず、過去の成功体験が役に立たなくなるような、大きな環境の変化が起きていることを見逃してしまうのです。

幕張メッセ会場前のビル  幕張やビックサイトでのICT(情報通信技術)のイベントや展示会に継続的に参加していれば感じることですが、この分野は益々加速度的に進歩しています。 HTML5/CSS3/オープンソースやアジャイル開発などの流れは急で、クラウドコンピューティング、ビッグデータ解析、IoT、人工知能応用など、 新潮流の情報は溢れんばかりです。これまでICT(情報通信技術)に縁のなかった人々が、ICTの恩恵を受けるようになり、ICTは社会のあらゆる分野に浸透していきます。

 子供のころ、「シャボン玉ホリデー」というバラエティー番組(昭和36.6【1961】~)を毎週楽しみに見ていました。 小学生の時に見たその番組中のコントの1シーンは、今でも鮮明に覚えています。 ある研究者が、3年間研究室に閉じこもって一歩も外に出ずに研究を続けていました。 研究の成果を発表するというその日、研究室の前で記者たちが、まだかまだかと待ち構えていました。 研究者が部屋からなかなか出てこないので、ある記者が「インスタントラーメン」を食べて待とうと呼びかけ、 皆が食べながら待っていました。3年ぶりに部屋から出てきた研究者が発表した成果は「インスタントラーメン」でした。 ほんとうに笑えるコントでした。

 情報が溢れる今日でも、関心を持って意識して追い求めなければ、必要な情報が飛び込んでくるはずもなく、重要なことが目に入りません。 仮に情報が目に入ったとしても、重要性が認識できずに「あまりたいしたことではない。」と見過ごしてしまいます。変化の速い今の時代、 安定した空間(組織)にどっぷり浸かることは、「シャボン玉ホリデー」のコントの研究者のようになってしまうリスクが高いのでしょう。 ICT(情報通信技術)やICTがもたらす時代の変化を敏感に受け止めて、自らの判断力と「志」を持って行動していく人が増えれば、 将来は明るいと思う今日この頃です。


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