ウェブキャスティング

2017.06.07 岡田定晴
 夕日に羽ばたく心(作曲:Amacha)

 インターネット以前の時代には、「映像」や「音声」の配信は、「放送」でしか実現できませんでした。 勿論、ディスクやメモリーに記録して配布することは可能でした。 インターネットの時代になって、初めてYouTubeやUstreamの動画を見たとき、インターネットラジオを聴いた時の驚きは今でも忘れられません。 それまで出来なかったことが、出来るようになったのです。でも、それももう10年以上も昔のことになってしまいました。 今の子供は、物心ついた時からiPadでゲームをしたりYouTubeで子供向けコンテンツを見るような時代ですから、インターネットを通じて「映像」や「音声」が 伝えられることが如何に凄いことなのか、画期的な事であったのかははあまり考えることもなく、驚くこともありません。



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 当初、それはインターネット回線に接続した屋内のパソコンや、モバイル環境にあるパソコンやタブレットPCに限られたものでした。 ところが、2011年(平成23)ころから、スマートフォンが急速に普及して、いつでも、どこに居てもインターネットに接することができるようになり、 電車の中でも動画を見たり音声を聴くことができるようになったのです。しかも殆どの人がスマートフォンを持っていますから、 テレビやラジオを持ち歩いて利用する人は無く、スマホでネットラジオや動画配信が利用されるのでしょう。

 こうした時代になったからできた言葉なのでしょう。英語で"webcasting"という言葉があります。 インターネットの辞書で調べると、次のように書かれています。

○ goo辞書(英和・和英)
[名詞] 〔インターネット〕 ウェブキャスティング:ワールドワイドウェブを利用した情報発信.
語源: World Wide Web + broadcasting

○ Weblio英和辞典・和英辞典
Webを通じて動画配信などを行うことである。

○ コトバンク デジタル大辞泉
ウェブキャスティング→インターネット放送
インターネットを通じて動画や音声を配信するサービス。 従来のテレビ放送のように番組の放送時間が決まっているストリーミング型と、 動画ファイルをまとめて受信して聴取するダウンロード型とがある。 音声のみを配信するものをインターネットラジオという。 ネット放送。ネットテレビ。ウェブキャスティング。ウェブ放送。


 「webcasting(ウェブキャスティング)」は、「インターネット放送」とか、「webを通じて動画配信を行うこと」 「インターネットを介して生中継されるビデオ放送のプロセスである」とする辞書やサイトが多いのですが、 私は「ワールドワイドウエブの特性を活用した情報発信である」と考えたいと思います。

 その理由は、「放送」は、完成された映像や音声や情報を、専用の電波やケーブルを通してテレビ・ラジオ受信機に送り、 受信機で再生するもので、一方通行のものだからです。「完成された映像や音声や情報」をインターネットという伝送路で 配信するという使い方をするのが勿体ないと思うからです。これなら、伝送路が違うだけで、テレビやラジオと同じ情報しか 伝達できないからです。また、放送が得意とする同時大量配信は、インターネットは苦手なのです。

 テレビ・ラジオの「ブロードキャスティング」と違い、インターネットの「ウェブキャスティング」は、 ネットに繋がる端末があれば、世界中どこでも、何時でも、オンデマンドで配信を開始し、 各コンテンツを受信環境に応じて最適なフォーマットで提供できます。放送で言えば、国内でも受信できる オンデマンドの国際放送ということになります。もちろん、ストリーミングで、生放送もできます。 文字情報、データ、映像、音声、グラフィックスなど、様々な情報を個別のニーズに応じて配信できます。 ただし、テレビやラジオは、誰もがその存在を知っていてチャンネルを合わせるので多くの人に接することができるのですが、 ウェブを利用した情報発信は、その存在が知られていなければ誰も受信することができません。

渋谷 朗読シアター  インターネットにしかできない大きな可能性が一杯あるのに、webcasting(ウェブキャスティング)を 単に「インターネット放送」「動画配信」という意味にしてしまっては、インターネット配信の 可能性を潰してしまうように思えて仕方ありません。「ワールドワイドウエブの特性を活用した情報発信である」 と考えたほうが、発展性を感じさせるものに思えるのです。そう考えて、6月4日より、新たなコンテンツ 「渋谷 朗読シアター」(TOPページの"Roudoku"か下記の釦をクリック)をオープンしました。

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 単なる動画や音声配信ではない「webcasting(ウェブキャスティング)」にチャレンジしました。まだスタート地点に立ったばかりですが、 新しいメディアを育てていきたいと考えています。

 高速大容量が実現する5Gの時代(2020年一部、2023年全国)には、webcasting(ウェブキャスティング)は、 更に大きく発展していくことでしょう。


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