メキシコで見る日本のテレビ

2017.07.27 岡田定晴
 セピア色の渚(作曲:Amacha)

 この2017年7月20日に、総務大臣の諮問機関の情報通信審議会が、インターネットを通じた放送番組の同時配信の実現に向けて、 「インターネット配信の際の著作権について具体的な処理方法を検討すべきだ」とする中間報告をまとめ、 今後さらに放送事業者と意見交換を重ね、来年の夏をめどに最終報告をまとめるとのニュースが流れていました。

 また2013年2月、日本のテレビ番組をネット経由で海外でも視聴できるようにする「まねきTV」が、 著作権侵害に当たるか争われた訴訟で最高裁の敗訴確定を受けてサービスを終了したことも思い出されます。

 技術的に可能なことでも、「放送のインターネット配信」は、現時点ではサービスとして実施できないということです。 でも、日本国内はコントロールできても、海外まではコントロールできず、便利なサービスは普及していくのでしょうか。

SkyStream 次世代IPTV  メキシコに来て初めて知りましたが、「SkyStream 次世代IPTV」というサービスがあります。 iPhone・iPad・スマートフォン・タブレット・PCで、日本の地上波8局、BS19局、CS5局、最大32局の番組がWiFiや4G環境で視聴できるIPTVです。 世界中どこからでも日本のテレビを視聴することができます。解像度は640×360ピクセルで(ハイビジョンではなく)SDTV相当、毎秒30フレームで、 放送中の番組や、過去3日間の番組表から番組を選択して見ることができます。価格は、16chで年間US$240(2年目以降US$190)、32chで年間US$340(2年目以降US$290)で、 香港のMElHO NET LIMITEDという会社が実施しています。



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 この「SkyStream 次世代IPTV」は、WiFi経由でiPadやMacBookなどのパソコンで受信しますが、これらiOSデバイスにあるSkyStreamのコンテンツを、 AirPlayを使ってAppleTVにミラーリングしてテレビ画面に表示して楽しむこともできます。 インターネットの時代に、AppleTVは、従来のテレビの概念を大きく変えようとしています。

 NHK WORLDやJITV(日本国際放送)は、日本やアジアの情報を英語で世界に向けて、 衛星放送(Cバンド、Kuバンド)、各国のケーブルテレビ、インターネットで発信していますが、 この「SkyStream」は、インターネットで日本のテレビをそのまま配信しています。 日本国内の状況を考えると、この香港の会社が日本の放送局と交渉して著作権の問題などをクリアしているか否かわかりません。
でも海外に住む日本人にとっては、見慣れた日本のテレビそのものを見ることができるSkyStreamのサービスのほうが有難いと感じることでしょう。

 一方、インターネットニュースを配信している日本の放送局のコンテンツは、メキシコでも日本国内と同様に見ることができました。 FlashPlayerが必要な放送局のサイトは、Flash Playerをインストールしていないため確認できませんでした。 また、AbemaTVは、「Sorry... このサービスはお住いの地域からはご利用になれません。」というメッセージが出ました。 普段インターネットでもニュースを見る習慣があるので、「インターネットニュース」は、日本のテレビが見えること以上に、 有難く感じました。

SkyStream  音声や映像コンテンツを遠距離・海外に送り届けることが技術的に難しかった時代から、衛星中継や海底光ケーブル、アナログからデジタル、 そしてインターネット・・・という技術の進歩とともに、次第に距離や国境の垣根が低くなってきました。 もはや、音声や映像コンテンツに国境のない時代になったと思います。そして、そうした時代に相応しい サービスが求められるようになったのだと感じました。


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