飲料の自動販売機
2017.09.25 岡田定晴
陽炎(作曲:Amacha) |

その自動販売機には、コカ・コーラ、ファンタグレープ、ファンタオレンジを選択する 押し釦がありました。値段は、40円でした。10円玉4枚を入れて、ボタンを押すと、 自動販売機の下の方の枠の中に、空の紙コップが落ちてきて、そこに飲料が注がれます。 コップ一杯に注ぎ終わったら、自分で紙コップを手に取って飲みます。 稽古事を終わって解放されると、自動販売機に駆けつけて、ファンタグレープや ファンタオレンジを飲んだものでした。その時、炭酸の泡のピリピリした冷たい感触や風味とともに、 開放感に浸りました。 今のように、沢山の種類の飲料、缶やペットボトルはありませんでしたが、とても有難いものと 感じていました。瓶入りのコカ・コーラを売る自動販売機も、別の場所でよく見かけるようになりましたが、 使ったことはありませんでした。
その後、「缶入りの飲料」の自動販売機や、温かい飲料と冷たい飲料を同時に販売する自動販売機も現れました。 「ペットボトル飲料」の自動販売機や、災害時に飲料を無償で提供する自動販売機や、省エネタイプのものも現れました。
広告

特長は、
○大型タッチパネルディスプレイ
○高度なマーケッティング頭脳
センサで顧客属性(年代・性別)を判断し、属性毎にお勧め商品を表示
季節、時間帯、環境に応じた商品訴求
売り切れ商品の画像が消滅、機内在庫がある商品に置き換え
赤ランプ(売り切れ)非表示
POS情報を取得し、マーケッティングデータとして活用
○デジタルサイネージ・ネットワーク
WiMAXネットワークで絶えず新鮮なコンテンツを配信
災害発生時には、遠隔操作により飲料を即時に無用提供
などがあげられていました。
この自動販売機が既に品川駅に設置されていると聞き、品川駅で乗換をした時に実物を探して見つけました。





まさに、ICT(情報通信技術)が自動販売機に適用されたもので、ここまでICT化が進んでいるのかと感心します。 半世紀前に初めて使った飲料の自動販売機が、このように進化したのかと感慨深く見入ってしまいます。 今は、子供の頃、稽古事を終わって解放されたときに自動販売機に駆けつけて飲んだ味覚や開放感を感じることはありません。 でも、これは「自動販売機」なのですが、「インターネットに繋がる大型のデジタルサイネージ」でもあるということに、 大きな進歩の足跡と、未来への可能性を感じるのです。
6年半前の3.11から数日後、東京で大停電が起きるかもしれないという情報が流れた日、 薄暗くなった池袋駅の通路は、運転休止で電車に乗ることが出来ない人で溢れていました。 その中に居た私は、もし電気が全部消えて真っ暗になったら怖いという恐怖感と、 どのように行動すれば良いのかの判断材料が無いという心細さに襲われました。 今は、この大型ディスプレイを持った自動販売機や、数多くのデジタルサイネージが並んでいます。 あの時、適切な情報が表示されていれば、どれほど心強かったかしれません。 このような時に、この自動販売機が活躍してくれることも期待したいと思います。