朗読者からのコメント 「高瀬舟」





 「高瀬舟」は、大正5年(1916)に発表された森鴎外の作品です。



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 高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟で、江戸時代に遠島を申し渡された罪人が載せられて大阪へ廻された。 それを護送するのが京都町奉行の配下の同心であった。この船で護送される罪人の過半は、心得違いのために想わぬ 罪を犯した人であった。あるとき、喜助という三十ばかりになる男が一人で船に乗り、護送を命じられたのは 同心羽田庄兵衛であった。喜助は、庄兵衛がこれまで知っている目も当てられぬ様子をした罪人とは違い、遊山船に でも乗ったような顔をしている。庄兵衛は喜助の態度が考えれば考えるほどわからなくなり、喜助に声をかけた。 この後、二人の会話を中心に話が進んでいきます。弟殺しに至った経緯を聞くと、弟が死にきれないのを頼まれて 手助けをしたことが弟殺しなのかという疑問がわいてくる。庄兵衛は、自分より上の者の判断をそのまま自分の判断と しようと思うが、腑に落ちぬものが残り、お奉行様に聞いてみたくてならなかった。

 高瀬舟で交わされる喜助と庄兵衛のやりとりが、目に浮かぶような朗読を心がけました。
(32分11秒)


岡田定晴


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