朗読者からのコメント 「うた時計」





 十何年ぶりに家に戻った周作は、改心してまじめに町の工場で働くことにしたと言って、 一晩泊めてもらいました。が、翌朝、悪い手くせを出して二つの時計をくすねて家を出ます。



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 周作は、人なつっこい素直な「廉」という少年に出会います。少年が周作のポケットに手を入れたとき、 オルゴールが鳴り出しました。「廉」がよく遊びに行く薬屋のおじさんの家にもそのうた時計があります。 「廉」は、周作に、薬屋のおじさんの話をします。日露戦争の時のおじさん、すなわち周作のお父さんの 話や、うた時計にまつわる話をします。「廉」と話をするうちに、周作は、心が変わり、 「間違って持ってきてしまったので薬屋のおじさんに返して欲しい」と言ってうた時計と懐中時計を 「廉」に渡します。そして、「潔白でなければいかんぞ。立派な大人になれ。」と言い残して別れます。

 追いかけてきた薬屋のおじさんに「廉」は、「周作さんが間違えて持ってきたこと、 清廉潔白でなくちゃいけないと言い残したこと」を伝えると、老人は目に涙を浮かべました。


 人なつっこい素直な少年「廉」と、「周作」の会話を通じて、「周作」の心が変わっていくことを表現しました。
(16分30秒)


岡田定晴


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