NHKプラス

2020.1.19 岡田定晴
 夜明けの空(作曲:Amacha)

スタジオパーク入り口から見るNHK
 1月14日、総務省はNHKがテレビ番組を放送と同時にインターネットに配信することを認可すると決定しました。

1月15日、NHKは地上放送(総合テレビとEテレの番組)を、インターネットに同時に配信する「常時同時配信」と、 それらの番組を放送後1週間、いつでも見ることができる「見逃し番組配信」のサービスを、ことし4月から開始すると発表しました。

また、
・サービスの名称を「NHKプラス」とする
・「常時同時配信」は、毎日午前6時から翌日午前0時までの18時間程度
・「見逃し番組配信」は、放送後7日間いつでも利用可能
・受信契約者・契約者と生計を同一にする人は、手続きを行えば追加の負担なく利用できる(放送を補完するサービスとして実施する)
・3月1日から試行的にサービスを実施し、システムの確認などを行う
など、具体的な概要も発表されました。

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常時同時配信・見逃し番組配信サービスの開始について



私はこれをどう受け止めたか

NHK放送センター1
 私は、このニュースを聞いて、様々な困難を乗り越えてようやくここまで来たか、視聴者への新年のプレゼントだと感じました。

昨年10月15日のNHKの実施基準案の認可申請に対して、11月8日に総務省が再検討を求めたことで、 私は、NHKのネット事業が大幅に縮小するのではないか、総務省は視聴者サービスを第一に考えずに関係者の既得権益を守ることを考え、 日本が世界から取り残されるのではないかなどと、かなり悲観的に考えていました。

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NHKテレビ放送のネット常時同時配信


しかし、1月15日のNHKの発表では、
・総合テレビだけではなくEテレの番組も常時同時配信
・放送後7日間の見逃し番組配信
についても計画されています。 予算が大幅に削減されることで、私はこれらのサービスは全く期待していなかったので、大変驚きました。 深夜0時から早朝6時までの常時同時配信が無いだけで、私にとって実質的な影響はありません。

渋谷スクランブル交差点から見る渋谷駅方面
銀座線渋谷駅ホームと渋谷スクランブルスクエア
また、インターネット実施基準(平成29年9月13日 総務大臣認可)の、2号受信料財源業務の「放送番組の提供」で、 「災害時における国民の生命・財産の保護等に資するための情報その他の国民生活や社会全体に大きな影響を及ぼす情報であって特に迅速に提供すべきものを伝える放送番組」 が認められているので、地震や台風や火山の噴火など、これまで配信されていた重要な放送のインターネットへの配信は、 深夜0時から早朝6時の間であっても、当然実施されるものと期待しています。

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インターネット実施基準



総務省は視聴者を第一に考えて欲しい

NHK放送センター2
高市総務大臣は、14日の閣議後の記者会見でNHKの修正案について「おおむね妥当」と評価しましたが、 認可にあたっては、
・ネット関連費の抑制的管理の為の具体的な仕組みを早期に導入すること
・ネット業務での連携に向けた民放各社との協議の場を設置すること
などの条件が付けられました。

NHKの上田会長は、
「NHKは今の経営計画で、放送を太い幹としつつ、インターネットも適切に活用し、正確で迅速なニュースや質の高い多彩な番組を『いつでも、どこでも』受け取っていただける環境を整え、視聴できる機会を拡大していくことを掲げている。『NHKプラス』の開始は、NHKが『公共メディア』として、これからも信頼される『情報の社会的基盤』としての役割を果たし続けていくための大きな飛躍の一歩だ」
と述べました。

 私は、インターネットが社会生活の基盤として定着した今、ネット配信も放送事業の大きな柱であると考えて欲しいと思っています。

NHKの同時配信は4年以上も前から検討され、昨年5月末にNHKのテレビ放送のインターネットへの同時配信を認める改正放送法が成立し、 昨年10月15日にNHKが総務省に実施基準案が提出しされました。すぐに実施基準案の承認を受けて実施されるものと思っていましたが、 11月8日に実施基準案の再検討を求められたことで、総務省が進めてきた方針が、昨年9月に総務大臣が変わったことにより方針転換されたと感じました。 認可にあたって付けられた条件を考えると、民放から総務大臣に、強烈な陳情があったのかもしれません。

総務大臣が同時配信の認可にあたっての付与した条件には、 『視聴者に放送番組の視聴の機会を増やしNHKがこれからも信頼される情報の社会基盤を果たせるように』という 視聴者の利益を守るという理念がありません。 NHKの上田会長の発言は、視聴者の立場にたったもので、今の時代にふさわしい考えであると思います。 でも、もっと早くから、もっと強くアピールして欲しかったと思います。

もうひとつ、昨年11月8日に実施基準案の再検討を求められてから『BS1とBSプレミアムと2波の放送を一つに統合すること』が、何の議論もなくあっという間に提案されたことに、何かおかしなことが起きているのではないかと感じます。 同時配信のために、このことが決定されたら、衛星受信料を払って衛星放送の番組を欠かさずに見ているファンは、怒るでしょう。視聴者軽視としか言いようがありません。



時代の変化をリードして欲しい

総務省とNHKの動きに合わせたかのように、1月17日、民放5社から『在京民放5社による放送の同時配信サービスに関する技術実証実験』についての報道発表がありました。

1月20日~24日の5日間、 日本テレビ 「news every.」、テレビ朝日 「スーパーJチャンネル」、TBSテレビ 「Nスタ」、テレビ東京 「ゆうがたサテライト」ほか(アニメ番組など)、フジテレビ 「Live News it!」 などの関東地区での放送が同時配信され、技術検証が行われる予定であると発表されています。

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在京民放5社による放送の同時配信サービスに関する技術実証実験について

 また、下記『スマホと生活習慣の変化』の『④テレビはスマホで見る』に記載したように、 昨年の11月末ごろから、BSの報道番組がインターネット無料ライブ配信や見逃し配信が始まっています。

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スマホと生活習慣の変化


渋谷公園通りからアベマタワーズを望む
 渋谷の街を歩くと、この数年で建築された多くの高層ビルが目につきます。 東急プラザ、渋谷ヒカリエ、渋谷ストリーム、渋谷PARCO、渋谷区役所、アベマタワーズ、渋谷スクランブルスクエア、パークコート渋谷ザ・タワー など、渋谷の景観が大きく変わりました。今後も渋谷駅周辺は大きな変化が続きます。

渋谷公園通りから神南小学校の方を見ると、アベマタワーズが威容を誇っています。 アベマタワーズが建っている場所には、昔『渋谷ビデオスタジオ』がありました。

新国立競技場
渋谷スクランブルスクエアの屋上から、東京オリンピックを迎える新国立競技場が見えます。

 放送のインターネット配信や、街並みの急激な変化など、これまでに経験したことのない大きな変化が起きています。 総務省も放送業界も、いつまでも従来の枠にとらわれていないで、日本を訪れる世界の人々が羨むような視聴者サービスを展開してほしいものです。








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