使わなくなった固定電話兼FAX

2019.08.04 岡田定晴
 夏の終わり(作曲:Amacha)

固定電話兼FAX
 最近、自宅の「固定電話兼FAX」を見るたびに、その存在価値が無くなったばかりか、厄介者になってしまったと感じるようになりました。 かつて、情報通信機器の主役として、オフィスでの業務や家庭での情報連絡などに使われていた電話やFAXが、 今まさに風前の灯火となっている姿を見て、昔を懐かしみ淋しさを感じています。

固定電話は、昭和30年代半ば(1960年ころ)から平成10年代前半(2000年ころ)は、 情報通信機器として、家庭でも職場でも、重要な役割を果たしていました。

FAXは、写真電送装置としては昭和天皇の即位礼のころからあったようですが、 事務用に企業間で使われるようになったのは昭和50年代半ば(1980年ころ)からでした。

また、電話回線の端末設備の接続が自由化された昭和60年(1985年)以降は、 広く社会に普及し始め、パソコンをFAXとして使えるようにするFAXモデム(STARFAX)が現れ、 オフィスの机の上からPC-9801で「松」や「一太郎」などの国産ワープロで作成した文書をそのままFAXとして送信していました。 随分便利になったと感じたものです。

平成の始まり(1990年ころ)のころ、コードレス留守番電話機と一体になったFAXが 家庭に入り、職場から自宅へ緊急時の業務連絡用にFAXが入るようになりました。

冒頭の写真は、平成22年(2010年)ころに購入した、我が家の2代目の「固定電話兼FAX」です。 その後、平成12年(2012年)の秋に、電話機はそのままで、電話回線をIP電話に切り替えて、現在に至るまで使用してきました。

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電話 ~その1~
電話 ~その2~
「電子メール」と「手紙」
増えたメールアドレス



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操作パネル
 この電話機は、コードレス留守番電話機です。小型で軽量ですが、操作パネルを見ると、持っている機能を使いこなすのは非常に難しそうです。
また、液晶ディスプレイにはカタカナと数字が表示され、文字を構成するドットが見え、読みづらいものです。漢字は表示されません。

FAXのインク装着部分
 操作パネルを開けたところです。右側にコードレスの送受話器のためのアンテナが、中央部にFAXのインクリボンを装填する機構があります。 もう4~5年前に、この機構が破損して、インクリボン(薄いカーボン紙のような黒いフィルム)を走行させることが出来なくなりました。 昔は会社からの連絡にFAXが使われていましたが、メールや携帯電話が使われるようになり、修理をせずFAXを使用しないことにしました。 通販で購入した品物の販売元からFAXが定期的に送られてきていたようですが、FAXの受信データは消去するようにしました。

取扱説明書
 取扱説明書も厚みがあり立派なものですが、どうしても読む気になれません。困ったことが起きて解決したいときに読むくらいで、 便利な機能を使いこなすために読もうという気持ちにはなれません。特殊な機能を持ったこの装置のみでしか通用しないものに労力をつかうことがバカバカしくなるのです。 複雑化する機能に難解な取扱説明書、その割には確か3万円程度の低価格だったと思いますが、日本のメーカーは涙ぐましい努力をしているのだなと感じていました。

利用価値が殆どなくなった固定電話兼FAX
 もう15年以上も昔から、家族全員が携帯電話を持っているので、自宅の固定電話を使う必要がありません。 携帯電話を忘れて外出したときに自宅に電話をしようと思っても、街中で公衆電話を見つける事はほぼ不可能です。 会社の帰りに携帯電話で、自宅の固定電話にカエルコールをしていた時代が懐かしく思い出されます。

 固定電話にかかってくる電話は、外壁工事他のセールス、アンケート、光回線の変更の勧誘、選挙関連などで、 自分や家族にとってメリットのあるものは殆どありません。 でもごく稀に、携帯電話番号を知らせていない疎遠になっている古くからの友人・公的機関・証券会社などからかかってくることがあります。 また今はどうか分かりませんが、公的機関やクレジットカードなどで、連絡先として固定電話しか認められないことがありました。 居住地あるいは事業所の場所を示す必要のある契約等では、固定電話は必要でしょう。時代から遅れている企業や団体では、 未だにFAXが使わています。迷惑行為と思うことすらあります。

 とは言え、スマホの電話・メール機能、LINEやWebメールなどによって、固定電話やFAXが無くても全く困らない時代になりました。 30代の子供たちは自宅を出て独立していますが、最初から固定電話を持ったことはありません。それでも全く不自由はないようです。 最近、地方自治体からのメールで、振り込め詐欺や高齢者の行方不明、高温注意報などの情報が送られてきますが、 近所の交番から自宅を戸別訪問されたとき、振り込め詐欺への注意喚起があり「電話には出ないように」と勧められました。

 かつてお茶の間の中心にラジオやテレビがあったように、家庭の情報通信手段として重要な地位を占めていた固定電話やFAXが、 その存在価値が無くなったばかりか、厄介者になってしまったと感じるようになりました。 スマートフォンが、放送や情報通信のすべてに対応できるデバイス、或いはシステムの端末として機能する時代となり、主役が交代しました。
そしてそれは、かつてエレクトロニクスで世界をリードしていた日本が、 「半導体」「スマホ」「情報システム」「ビッグデータ」「AI」などの最先端技術で、 中国やアメリカや台湾や韓国にその座を奪われてしまったことと重なります。 平成の時代に主役交代したのですから、同じくらいの時間をかけて日本が再び優位に立てるよう、 子供の教育から考え直す壮大な戦略を持たねばと思います。



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